私は毎日毎日、同じ毎日を繰り返しているばかりで、日常から逃げ出したくて仕方がありませんでした。
朝起きて家事をこなし、私を女性として扱わなくなった夫を送り出し、パートに出て、また帰宅して家事や夫の生活の世話をする。
子供はいません。夫は私をもう抱いてくれませんから、できるはずも無いのですが…。
会話も少なくなり、まるで家政婦のような生活。でも、まだどこかで私の事を愛してくれているって思っていました。
でもある日、夫の浮気が発覚し、家を出ました。
財布とケータイだけは持って出たものの、五千円程度しか入っていませんでした。
夜中でしたし、行く当てがなく、どうしようかと思って歩き続けました。
その時、偶然パート先の同僚とバッタリ会いました。18歳の若い女の子で、髪の毛も金髪だし、苦手な子でした。
でもその子は、私の様子を見て、心配してくれました。思わぬやさしさに、涙しながら今ここにいる経緯を話しました。
彼女は、宛てのない私に、「神待ちすればいいよ」と言ってきました。
神待ちが何の事か分からなかった私ですが、宛ての無い女性をかくまってくれる人の所でお世話になる事だと聞きました。
知らない男性の家に泊まるなんて、怖いし、私はもう歳だし、どっちにしろ無理だと言いました。
でも彼女は神待ちを何度も経験していて、よく知っている様子でした。
「自分の情報を入れたら、それでいいって言ってくれる人いるから、大丈夫だよ」と、私のケータイで“ハッピーメール”というサイトを開きました。
私は彼女に手伝ってもらい、自分の情報を入力し、「神待ち」をはじめてしました。
待っている間緊張で心臓がどきどきしました。
暫く待つと、一人の男性からメールが来ました。文章がとても優しく見えて、その人に会ってみたいと思った…。
でも少し怖かった私は、待ち合わせ場所まで彼女に付き合ってもらい、陰から見守ってもらいました。
待ち合わせ場所に来たのは、どうみても十歳は年下の、爽やかな男性でした。
まさか、と思いましたが、私の名前を確認すると、すぐに「大変だったね、おなか空いてるでしょ?」
と心配してくれました。陰で見守っていてくれた彼女は笑顔で去っていきました。
そのあと、彼のマンションへ一緒に行き、夕飯をつくってくれました。
緊張してあまりしゃべれない私を気遣ってか、彼はただ笑顔で見守ってくれました。
夕飯をご馳走になり、お風呂も借り、洋服(男性用ですが)も貸してもらい、なんだか夢を見ているような気がしました。
やさしい男性が私を気遣ってくれる。本当に神みたい…。現実には戻りたくない、そんな思いでした。
ベッドは一つしかなく、一緒に入りました。男性と一緒にベッドに入るなんて、何年振りだろうと、体が火照りました。
たまには夢をみたい。そんな気持ちで彼に抱き着くと、彼はやさしく受け入れてくれました。
そして、夫とは到底できない、夢心地のセックスをしました。
私は三日後に現実に戻りましたが、まだ彼とはたまに会っています。
素晴らしい出会いでした。
神待ちは、若い子だけの物じゃないんだって、思います。